建物管理業務において、図面は単なる建物の設計図以上の価値があります。適切に活用することで、日常の管理業務を効率化し、問題の早期発見や予防保全にも役立つ重要なツールとなります。本記事では、図面活用の具体的なメリットから実践的な活用方法まで、わかりやすく解説していきます。建物管理において図面を活用するメリット視覚的に工事履歴や不具合履歴を把握できる建物内で発生した様々な工事や不具合の情報を図面上に記録することで、それらの位置関係や傾向を視覚的に理解することができます。これにより、類似の問題が発生しやすい箇所の特定や、予防保全の計画立案がより効果的に行えるようになります。スムーズに情報共有できる図面を活用することで、他のメンバーや上司との間で工事箇所や設備の位置などの情報共有が格段にスムーズになります。特に複雑な建物構造や設備配置を説明する際、図面があることで口頭での説明だけでは伝わりにくい細かな位置関係や状況を、正確かつ効率的に伝えることができます。業務効率を上げられる図面を効果的に活用することで、現場の状況把握にかかる工数を大幅に削減することができます。例えば、設備の配置や不具合の位置を図面上で確認できることで、必ずしも現場に足を運ぶ必要がなくなるケースも出てきます。これにより、より効率的な業務遂行が可能となります。図1. メモを書き込んだ図面活用できる図面の種類平面図各階を水平方向で切断し、真上から見た状態を表現した図面です。各フロアの間取りや部屋の配置、動線を把握するのに最適で、スペース活用の検討や設備配置の計画立案に欠かせない基本図面となります。電気設備図建物全体の電気設備の配置や配線経路を示す重要な図面です。分電盤からの配線ルート、各種スイッチやコンセントの位置、照明器具の配置、通信設備など、電気に関連するすべての設備情報が記載されています。図面上では簡略化された記号を用いて、複雑な配線系統をわかりやすく表現しています。空調設備図建物内の空調システム全体を示す図面で、エアコンユニットや室外機、換気設備の配置、ダクトの経路などが詳細に記載されています。各機器の能力や配管サイズなども明記されており、空調システムの維持管理や改修計画の立案に不可欠な情報を提供します。給排水設備図建物内の水まわり設備全般を示す図面です。給水・排水管の配置、トイレや洗面所などの水まわり設備の位置、消火設備の配置などが記載されています。配管の多くは壁内や天井裏に設置されているため、この図面は漏水対応や設備更新時の工事計画に重要な役割を果たします。ガス設備図建物内のガス供給システムを示す図面です。ガスの引き込み位置から各供給先までの配管経路、配管径、接続方法などが詳細に記載されています。安全管理の観点から特に重要な図面で、天井裏や床下、壁内を通る配管経路の正確な把握に役立ちます。(出典:https://www.sankovalve.co.jp/piping_journal/zumen/建築設備の図面とは?図面の種類や設計段階で必/)具体的な図面の活用方法漏水箇所の図面での管理建物管理において、漏水問題は迅速な対応が求められる重要な課題です。図面上に漏水が発生した箇所をプロットすることで、建物全体での漏水傾向を視覚的に把握することができます。また、過去の漏水履歴を図面上で管理することで、類似箇所での予防保全にも活用できます。定期的な点検計画の立案時にも、過去の漏水発生箇所を優先的にチェックするなど、効率的な保全管理が実現できます。クラウド上に図面をアップロードして管理工事履歴や修繕箇所を図面上にプロットし、その情報をグーグルドライブなどを使って社内で共有することで、建物管理の効率が大きく向上します。例えば、ある設備の修繕工事を実施した場合、その位置や工事内容、実施日などの情報を図面上にプロットしてクラウド上に保存することで、後任者への引き継ぎやチーム内での情報共有が円滑になります。また、複数の管理物件がある場合でも、図面をクラウド保管することで、必要な情報への素早いアクセスが可能となり、緊急時の対応にも役立ちます。デジタル図面を活用した履歴管理図面のデジタル化により、工事履歴や不具合発生箇所などの情報を効率的に管理することができます。デジタル化された図面上に設備の修繕履歴、点検結果、不具合の発生状況などを書き込むことで誰でも情報にアクセスすることが可能です。これにより、建物の経年変化や設備の劣化状況を視覚的に把握でき、中長期的な修繕計画の立案にも活用できます。また、デジタルデータとして保存することで、検索性が向上し、過去の工事履歴や不具合情報への素早いアクセスが可能となります。図2. デジタル図面上にトラブル履歴をプロットすることで過去の履歴を確認できるまとめ図面の効果的な活用は、建物管理業務の質を大きく向上させる可能性を秘めています。単なる設計図としてではなく、建物の維持管理における重要な情報基盤として活用することで、業務効率の向上や状況共有の迅速化、そして建物の維持にも貢献します。デジタル技術の進歩により、図面の活用方法は今後さらに広がっていくことが予想されます。本記事で紹介した内容を参考に、自社の状況に合わせた効果的な図面活用の方法を検討してみてください。ビルカンの紹介:デジタル図面を活用した建物管理システムビル管理業務の効率化を実現する上で、デジタル図面の活用は大きな助けとなります。その代表的なソリューションとして、ビルカンをご紹介します。ビルカンは、建物管理業務のDX化を実現する革新的なクラウドシステムです。このシステムの特徴は、建物管理に関わる報告書の作成・確認・共有を簡素化し、過去の書類や修繕履歴への迅速なアクセスを可能にする点にあります。特に注目すべきは、図面上で修繕履歴や設備の不具合を一元管理できる機能(※特許取得)を備えていることです。図面上にピンを配置することで建物や設備の状態を視覚的に把握できます。また、このピンは関連する報告書と紐づけられているため、修繕箇所や建物の状態を即座に確認することが可能です。